エイモス・チュツオーラ

チュツオーラの『ブッシュ・オブ・ゴースツ』という作品は、「魅惑のアフリカン・ファンタジー」と銘打たれて日本でも出ているが、これ、多分原文で読んだ方が良いと思われる。チュツオーラは独特の、破格英語といわれる、洗練だとか技巧だとかいうのと対極にあるような文体が大きな魅力でもあるようで、そのワイルドな味わいが翻訳ではなんだか薄まるみたいなので。生憎と私は翻訳でしか読んだことがなく、チュツオーラの生の語りの妙を知らないのだが、読んでて結構辛かった記憶がある。なんか神話っぽいのだ、これ。ロマンとかノベルとかいうんでない、まさにナラティヴっていうのが似合う、各地、各部族の神話に通じるぶっとんだ物語だった。それこそ夜、戸外で火を囲みながら作家本人が口頭で語ったら最高に面白かろう、という感じ。
チュツオーラは確か数年前に亡くなったと思う。彼の作品には『やし酒飲み』というのもあり、こちらの方がオススメという話も聞くが、私は未読。っていうか、今も手に入るのかしらん。