混沌

イランやイラク、シリア、アルメニア等のクルド人事情については全く知らないのだが、僅かながらトルコのクルド人については知己もいて、なんか現在の彼らを見ていると必ずしも「迫害されてる」というイメージだけでは括れない気がした。辛酸を経てきていて、今なお続いているのも事実ではある。ただ、私の一方的な思い込みや無知による誤解もあってバイアスがかかってるとは自覚しつつも、あえて言うならば、必ずしもクルドとしてのアイデンティティばかりに拘泥してはおらず、したたかな人も少なくないと感じる。クルド人としてクルド語を喋り、クルド音楽を聴く一方で、トルコ人としての意識も口にする。トルコ人クルド人の結婚もよくあるし、トルコの政治、経済、産業の様々な領域にクルド人って入り込んでるし、当然ながらクルド人社会も一枚岩でないわけだ。己を利するための方策に賢く、良くも悪くも権謀術数バリバリで、舌を巻く。なんかもう日本人が甘いとか呑気とかいうんでなくて、普段使用してる脳の領域がハナから違ってるんじゃないの、とすら思う。そしてこのしたたかさは多分、クルドであるということだけに端を発するものではなく、黒海周辺から中央アジア、南に下ってアラブ諸国一帯に渡る広大な地域のエートスから蒸留されているように想像するのだが、どうだろうか。