軍部が関与を否定しても、そんなん信じられんわと素人は思う

トルコ南東部はイランとの国境沿いの町、ハッケリ県シェムディンリでの書店爆破事件には穏やかでないものが匂う。この爆破事件を発端に軍隊や警察に対するデモが頻発してるし、やはり軍部への嫌悪や不信が根強いのが推測できる。
爆破犯と目される3人はいずれも軍部の息がかかっている。2人はジャンダーム(憲兵、と訳すべきか。トルコでの実態がよくわからないんだが、田舎では通常の警察でなくトルコ語でいうところの「ジャンダルマ」が犯罪取締りや治安維持の任に就いているっぽい)、残る1人は情報提供者として軍へ協力している元PKKのゲリラ、ということらしい。
で、軍はこの爆破事件に関与してないと否定するコメントが出たそうなんだけど。
http://www.kurdmedia.com/news.asp?id=10668

でもhttp://www.kurdistanobserver.comhttp://www.kurdmedia.comに掲載されたこれまでの一連の報道を見ると(残念ながらトルコ語がさっぱりわからない身ゆえ、ネット上の英語のニュースを読んだだけであり、どれほど事情を把握してるか心許ない)軍部が関わってると思われてもしょうがないというか、もう怪しさ満点である。
http://www.kurdistanobserver.comの11月15日と22日分に掲載されている、Mehmet Ali Birand氏*1の"The State Should Not Miss The Chance Provided By Semdinli" "A Dangerous Increase In The Kurdish Problem"という記事を読んでも、「それが正しいせよ間違いにせよ、軍が関係しているとの印象」が既に人々の間では焼き付けられているようだ。基本的にトルコは軍部の力が強い。実は国を動かしているのは軍人だとの話もある。軍や警察にツテがあると何かと事がスムーズに運びやすい社会なのだ。今回の事件の遥か前より軍や警察、諜報部についての黒い噂が取り沙汰されているわけで、ここでこれまでの疑念をも払拭できるような公正で透明な処置を行わないならば軍や政府に対する不信は募り、PKKへの支持がいや増し、EU加盟交渉にも影響するとの懸念はそうそう杞憂とは言えまい。昨年のPKKの停戦破棄に関しても、記事では政府は停戦の5年間何やってたんだとか批判されてるが、これでまたPKKが勢いづいてきたとなると軍も彼らを一掃すべく乱暴なことやりそうで心配だ。
クルディスタンの独立なんてのはおそらく無理だろう。迫害される一方のクルド人って図も必ずしも正しくは無いと思う。ただクルド問題一般とはまた別に、軍がやたら権力持って威張ってる国っての、暮らしにくそうだなーと嫌な気持ちになる。ひょっとしてひょっとすると私はいつかトルコに住むことになるかもしれぬ、と考えるとなおさらである。

*1:ちょっとネットで調べてみたら、TVの討論番組なんかのホストをしたり新聞各紙でコラムを執筆したりしてるリベラルな知識人とのこと。アルメニア人虐殺の件も政府に認めるよう提言したので裏切り者、売国奴呼ばわりされたらしい。