オニ モノ カミ シコ

いや、まったくもってオニっていうのもなかなか得体の知れない、謎めいた輩である。数年前、友人が東北地方で行われる学会だったか調査だったか忘れたが、とにかくなんか鬼に関する催事に参加するというので、じゃあオニって一体何者なのか聞いてきて教えてね、と頼んだんだが、日々の雑事にまぎれて、きちんとその話を聞かされないままになっている。思い出したら、ちょっと気になってきたぞ。おそらくその友人だって既に忘れちゃってる件だろうけど。
オニという語は、andyさんが言っておられるように(http://d.hatena.ne.jp/andy22/20050203)、人の目に触れず隠れ住んでいるという意の「穏(オン、オヌ)」に由来するという説もあるそうだし、自然や神を守護する精霊「大人(オオヒト)」に由るものという説もあるらしい。畏怖を呼び起こすもの、といってもまあ、神とは対極にあるような存在で、特に恐怖や不幸、凶事をもたらすという意味でのオソレを喚起する対象をこの国では「鬼」と呼んでいたように思うが、鬼の表象するものの多様性から推測するに、人間と鬼とが交流する場面はなにかと多かったのだろう。人間にとっては神々よりも身近にその気配を感じる存在で、時に親近感すら育まれる間柄だったのでは。