夜中出歩くものたち

ハリポタやLOTR人気のおかげで、巷では今やファンタジーというものは広く認知されているらしい。
数年前までは『指輪物語』を話題にしても、児童文学やファンタジーが好きな人以外には知名度が低く、何ですか、それ?という反応が一般的で、良くてせいぜい「名前は知ってるけど読んだことない」という程度だったことを考えると、隔世の感がある。
ただ子供の頃からこの手の本が好きだった私からすれば、ハリポタは評価されすぎ、というか人気独占しすぎじゃないの?と思われるんだが。確かにハリポタもそれなりに面白い。でも手許に置いておこうという気にはならず、2巻目以降は買わなかった。誰かに借りて読めばいいや、とその程度に捉えてたので、何故あんなに受けてるんだか不思議だ。
指輪物語』は映画が『ロード・オブ・ザ・リング』となってるので、この題名の方が今では有名かもしれないが、言わずと知れたハイ・ファンタジーの傑作。映画については観てないので実際どんなんだか知らないが、どうも人間とかエルフがかなり脚光浴びてるようで意外だった。演じる俳優陣が良かったんだろうか。私は『指輪物語』はホビットの話だと思ってた。ゴクリにしてもホビットだし。人間族は馳夫とボロミアくらいしか私の中では印象に残っておらず、エルフなんていったらもう影が薄い薄い。ほとんど覚えてない。食い意地の張った子供だったせいで、私がエルフと聞いてすぐ連想するのはレンバスくらいだ。ちなみに今でもラング・ド・シャなんか食べると、あ、レンバスってこんな感じ?と想像してしまう。
あとサムとメリー、ピピンは若者だとしても、フロドって結構いいトシの中年で、しかもホビットって一応性別があっても性的な匂いの無い存在のせいか、大人子供というか父っつぁん坊やのイメージがあるので、イライジャ・ウッドが気の毒な気もする。映画ではその辺りはどう描いてるんだろう。

日記タイトルにある『夜中出あるくものたち』とは、私の偏愛するファンタジー。マイ・オールタイム・ベスト・ファンタジーと言ってしまおう。まず『夜中出あるくものたち』って題名にシビれるじゃないか(原題はThe midnight folk)。作者はイギリスの桂冠詩人ジョン・メイスフィールド。英文学専攻の知り合いに聞いたところでは、今じゃ詩人としての評価は低いらしいが。しかしそんなこととは関係無く、とっても楽しい話で、個人的には子供時代から現在に至るまで変わることなくベストの位置をキープしている。トールキンのようにきっちり物語世界を構築して、というのとは違う面白さがあり、辻褄の合ってない、ちょっと狂ったところがまた良くて、お薦めの一冊。