イオウトウ

お二人の方が前後して、それぞれ自分のブログで『父親たちの星条旗』の感想を載せておられたので、読んでみた。両ブログとも以前からアンテナ登録しており、ちょくちょく拝読しているブログで、まったくのトーシローではない、文章を書く仕事をなさっている方々の綴るもの。

映画での戦闘シーンを語る上で、どちらも奇しくも『プライベート・ライアン』を引き合いに出している。が。

ここでは仮に田中さんと山田さんと呼ばせて頂くとして、片や田中さんは「目を覆うような凄惨なシーンは無い。凄惨さの度合いは『プライベート・ライアン』を10とすると『父親たちの星条旗は』3といったところ」と仰り、片や山田さんは「戦闘シーンがすさまじく、あの『プライベート・ライアン』を超える圧倒的なリアリティと臨場感がある」との評である。
肝心の『プライベート・ライアン』を観ていない私はわからないので、うーん、自分が「凄まじい戦闘シーン」として思い浮かぶのはどの映画か、と考えてみる。戦場で戦うとはこういうことだったのか、とギリギリと我が身に痛みが突き刺さるように感じたのは『グローリー』という映画。これはアメリ南北戦争での黒人部隊とそれを率いる白人将校を描いたものだったので、戦闘の状況が思いきりクラシックなのであるが、ゆえに余計痛覚が刺激されてしまうというか、当たり前のことながら、弾があたれば肉が裂け血が吹き上がる、という生々しさが強烈で、身がすくんだのを覚えている。
この、我が身に感じる「戦闘の凄まじさ」のリアリティを考えると、『父親たち〜』の中のバトルについては、さほど強烈には感じられなかったので、田中さんの感想により共感する。ま、悲惨なものに対する私の感覚が麻痺してきている、というのもあるかもしれないけど。

で、田中さんも注目したインディアンの青年*1だが、彼に対する周りの反応とか、なんというかもう、ジム・チーが居留地を離れDCに行って受けたキワモノ扱いなんかともかぶってしまって、やるせない気持ちになった。   
さらに田中さんとこで初めて知ったのだが、硫黄島って「イオウジマ」でなく「イオウトウ」って読むのが正しいのだね。しらなんだー。映画でも兵士らが「イーオウジーマ」と連呼していたが、アメリカがこの呼び方を広めたそうだ。そういや、「柴犬」も「シバケン」でなく「シバイヌ」として英米では広まってるんだけど、音読みより訓読みが好きなのか、彼らって?

*1:シャーマン・アレクシー原作・脚本の『スモーク・シグナルズ』に出てるのと同じ俳優(アダム・ビーチ)が演ってた。